墓じまいで、遺骨を「一部は手元に、残りは永代供養墓へ」のように分けることを分骨といいます。分骨には、分骨用の証明書の仕組みが別にあります。改葬許可との違いと、要る書類を整理しました。
分骨の決まり
墓地、埋葬等に関する法律施行規則第5条は、分骨について次のように定めています。
- 墓地等の管理者は、ほかの墓地等に焼骨の分骨を埋蔵・収蔵しようとする人から請求があったとき、その焼骨の埋蔵または収蔵の事実を証する書類を交付しなければならない
- 分骨を埋蔵・収蔵しようとする人は、その書類を移す先の墓地等の管理者に提出しなければならない
- 火葬場の管理者にも同じ定めが準用される(火葬のときに分骨する場合)
改葬と分骨の違い
| 比べるところ | 改葬 | 分骨 |
|---|---|---|
| 何をするか | 遺骨を別の墓地・納骨堂へ移す | 遺骨の一部を別の墓地・納骨堂へ納める |
| 許可・証明 | 市区町村長の改葬許可(法第5条) | 墓地等の管理者が出す証明(施行規則第5条) |
| 出す先 | 移す先の管理者に改葬許可証 | 移す先の管理者に証明書 |
| 役所の手続き | 要る | 管理者どうしのやり取りが中心 |
墓じまいでの分け方と要るもの
| 分け方 | 要る手続き |
|---|---|
| 全部を永代供養墓へ | 改葬許可 |
| 一部を手元、残りを永代供養墓へ | 永代供養墓へは改葬許可。手元に置く分の扱いを市区町村に確認 |
| 一部を本山納骨、残りを納骨堂へ | 移す先が2か所。改葬許可・分骨の証明のどちらで扱うかを市区町村と管理者に確認 |
| 一部を散骨、残りを納骨堂へ | 納骨堂へは改葬許可。散骨分の扱いを市区町村に確認 |
墓じまいのように今のお墓を閉じる場合、管理者から見れば遺骨はすべて出ていくことになります。分骨の証明だけで足りるのか、改葬許可を移す先ごとに取るのかは、今のお墓がある市区町村の窓口に組み合わせを伝えて聞くのが確実です。
手元に残した遺骨を、あとで納めるとき
手元に置いた遺骨を、のちに自分の入るお墓や永代供養墓に納めることがあります。そのとき移す先の管理者から、その遺骨がどこから来たかを示す書類を求められます。墓じまいのときに分骨の証明を出してもらっておくと、この場面で困りません。
頼み方
- 今の墓地の管理者に、分骨したいこと・分ける先を伝える
- 分骨の証明書(埋蔵の事実を証する書類)を出してもらう
- 移す先の管理者に、受け入れに何が要るか確かめる
- 遺骨を取り出すとき、石材店に分ける量と容器を伝える
- 移す先に証明書を渡して納める
確認表
| 確かめること | 済 |
|---|---|
| 分ける先を全部決めた | □ |
| 移す先ごとに要る書類を聞いた | □ |
| 市区町村の窓口に組み合わせを伝えて確認した | □ |
| 分骨用の容器を用意した | □ |
| 証明書を保管する場所を決めた | □ |
| 親族に分骨することを伝えた | □ |
よくある質問
分骨すると成仏できないと言われました
宗教上の考え方は宗派や人によって違います。法令で分骨が禁じられているわけではなく、施行規則に手続きが定められています。気になる場合は寺に相談してください。
火葬のときに分骨しておけばよかったのですか
火葬のときなら、火葬場の管理者から分骨用の証明を出してもらえます。墓じまいの時点では、今の墓地の管理者に頼みます。
分骨の証明書をなくしました
出した管理者に相談します。墓地を閉じたあとは管理者との関係が切れるので、受け取ったらすぐに保管場所を決めてください。
遺骨を移す先の選び方
| 移す先 | 特徴 | 確かめること |
|---|---|---|
| 永代供養墓 | 寺や霊園が代わりに供養し続ける。合祀が多い | 合祀までの期間。あとから取り出せるか |
| 樹木葬 | 樹木や芝を墓標にする。区画が小さい | 個別か合祀か。管理費の有無 |
| 納骨堂 | 屋内。天候に左右されず参りやすい | 契約期間。期間後の扱い |
| 手元供養 | 自宅に置く。費用がかからない | 将来だれが引き継ぐか |
| 散骨 | 海や山にまく | 受入証明書が出ないため、改葬の扱いを事前に確認 |
先に決めておくこと
合祀すると、あとから取り出せません。「いずれ別の場所に」と考えているなら、個別に安置できるところを選んでください。
だれが引き継ぐか
年間管理費がかかる形は、払う人がいなくなると同じ問題が起きます。手をかけずに済む形を選ぶのか、参りやすさを取るのかで変わります。
改葬には役所の許可が要る
お墓を別の場所へ移すことを改葬といいます。墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)で、改葬には市区町村長の許可が必要と決められています。勝手に遺骨を取り出して移すことはできません。
そろえる書類
| 書類 | 出してもらう先 | 中身 |
|---|---|---|
| 改葬許可申請書 | 今のお墓がある市区町村 | 死亡者の氏名・本籍・埋葬の年月日など |
| 埋蔵証明書 | 今のお墓の管理者(寺・霊園) | そこに遺骨が納められている証明 |
| 受入証明書 | 移す先の墓地・納骨堂 | そこで受け入れる証明 |
| 申請者の本人確認書類 | — | 運転免許証など |
進む順番
- 移す先を決めて、受入証明書をもらう
- 今のお墓の管理者に伝え、埋蔵証明書をもらう
- 市区町村に改葬許可申請書を出し、改葬許可証をもらう
- 閉眼供養をして遺骨を取り出す
- 石材店に墓石を撤去してもらい、区画を更地にして返す
- 改葬許可証を添えて、移す先に納骨する
先に決めておくこと
移す先が決まっていないと、改葬許可は下りません。受入証明書が出せないためです。「まず墓石を片づけてから考える」という順番は取れません。
費用は3つに分かれる
墓じまいで出ていくお金は、大きく3つです。当サイトは各社の金額を持っていないので、相場は出していません。見積もりで確かめてください。
| 何に | だれに払うか | 確かめること |
|---|---|---|
| 墓石の撤去と区画の整地 | 石材店 | 重機が入るか、手作業か。区画の広さ。処分費が別か |
| 閉眼供養のお布施 | 寺・僧侶 | 包む額の目安を寺に直接たずねる |
| 移す先の費用 | 霊園・納骨堂・寺 | 永代供養料、納骨料、年間管理費の有無 |
見積もりで分かれ目になるところ
- 重機が入るか…山の上や階段の先にある区画は手作業になり、人手のぶん変わります
- 処分費が含まれているか…墓石の運び出しと処分が別途になっていることがあります
- 整地の程度…更地にして返すのか、土を入れるところまでか
- お布施が含まれているか…石材店の見積もりに寺へのお布施は通常入りません
2〜3社から取る
同じ区画でも、見積もりの前提が違えば金額は変わります。同じ条件を伝えて2〜3社から取ってください。1社だけだと、その金額が高いか安いか判断できません。
親族との間でもめやすいところ
だれが決めるのか
お墓の権利は祭祀承継者が持ちます。民法では、慣習や被相続人の指定によって決まるとされています。名義人が決まっていないまま進めると、あとから異議が出ます。
先に伝えておく
- なぜ墓じまいをするのか(参る人がいない、遠い、など)
- 遺骨をどこへ移すのか
- 費用をだれがどう負担するのか
- いつ作業するのか
作業が終わってからでは戻せません。親族が少人数でも、事前に伝えておくほうが結果的に早く進みます。
よくある質問
遺骨を自分で運んでもよいですか
改葬許可証があれば、運ぶ方法に決まりはありません。移す先に許可証を渡して納骨します。
お墓が遠くて現地に行けません
書類の多くは郵送でやり取りできますが、石材店の見積もりは現地を見てもらう必要があります。区画の広さや重機が入るかで変わるためです。
遺骨が土に還っていて見つかりません
古いお墓では骨壺を使わず土に還していることがあります。その場合は土ごと少量を取り出して改葬する扱いになります。管理者と石材店に事前に伝えてください。
墓石は引き取ってもらえますか
撤去した墓石は産業廃棄物として処分されます。処分費が見積もりに含まれているかを確かめてください。
作業に立ち会う必要はありますか
閉眼供養には立ち会うのが一般的です。撤去作業そのものは立ち会わないこともあります。石材店に確認してください。
途中でやめられますか
業者が自宅を訪ねて契約した場合は、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます。店舗で自分から契約した場合は対象外です。
お墓のある都道府県から石材店を探す
墓じまいの工事は、お墓のある地域の石材店に頼むと現地確認と管理者とのやり取りが早く済みます。全優石・日本石材産業協会に加盟する1,109店を、都道府県ごとに並べています。
北海道
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 38店 | 6店 | 32店 | 札幌市9店・岩見沢市3店 |
東北
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 青森県 | 10店 | 3店 | 7店 | 弘前市2店・八戸市2店 |
| 岩手県 | 21店 | 7店 | 14店 | 盛岡市5店・花巻市3店 |
| 宮城県 | 17店 | 5店 | 12店 | 仙台市6店・岩沼市1店 |
| 秋田県 | 7店 | 1店 | 6店 | 大仙市3店・秋田市2店 |
| 山形県 | 8店 | 0店 | 8店 | 山形市4店・天童市2店 |
| 福島県 | 28店 | 4店 | 24店 | 喜多方市4店・伊達市4店 |
関東
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 茨城県 | 55店 | 1店 | 54店 | 桜川市37店・笠間市5店 |
| 栃木県 | 18店 | 2店 | 16店 | 宇都宮市7店・小山市2店 |
| 群馬県 | 17店 | 8店 | 9店 | 高崎市3店・前橋市2店 |
| 埼玉県 | 53店 | 6店 | 47店 | さいたま市5店・川口市5店 |
| 千葉県 | 54店 | 12店 | 42店 | 松戸市13店・船橋市6店 |
| 東京都 | 109店 | 18店 | 91店 | 豊島区11店・府中市9店 |
| 神奈川県 | 32店 | 5店 | 27店 | 横浜市10店・川崎市5店 |
中部
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 新潟県 | 19店 | 1店 | 18店 | 新潟市6店・十日町市2店 |
| 富山県 | 13店 | 2店 | 11店 | 富山市5店・高岡市4店 |
| 石川県 | 15店 | 6店 | 9店 | 金沢市4店・小松市4店 |
| 福井県 | 9店 | 0店 | 9店 | 鯖江市2店・越前市2店 |
| 山梨県 | 12店 | 0店 | 12店 | 笛吹市4店・甲府市2店 |
| 長野県 | 18店 | 5店 | 13店 | 長野市6店・松本市2店 |
| 岐阜県 | 14店 | 2店 | 12店 | 大垣市4店・多治見市2店 |
| 静岡県 | 63店 | 10店 | 53店 | 静岡市16店・沼津市4店 |
| 愛知県 | 39店 | 2店 | 37店 | 岡崎市15店・名古屋市6店 |
近畿
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 三重県 | 17店 | 6店 | 11店 | 伊賀市4店・四日市2店 |
| 滋賀県 | 28店 | 2店 | 26店 | 東近江市5店・大津市5店 |
| 京都府 | 19店 | 1店 | 18店 | 京都市14店・福知山市1店 |
| 大阪府 | 48店 | 3店 | 45店 | 大阪市12店・堺市9店 |
| 兵庫県 | 29店 | 2店 | 27店 | 姫路市4店・洲本市3店 |
| 奈良県 | 22店 | 1店 | 21店 | 奈良市4店・橿原市3店 |
| 和歌山県 | 8店 | 0店 | 8店 | 和歌山市4店・橋本市1店 |
中国
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 鳥取県 | 16店 | 2店 | 14店 | 鳥取市6店・米子市2店 |
| 島根県 | 14店 | 1店 | 13店 | 安来市4店・松江市4店 |
| 岡山県 | 26店 | 4店 | 22店 | 倉敷市7店・笠岡市6店 |
| 広島県 | 23店 | 2店 | 21店 | 福山市8店・広島市3店 |
| 山口県 | 5店 | 0店 | 5店 | 山口市2店・下関市1店 |
四国
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 徳島県 | 17店 | 0店 | 17店 | 徳島市5店・美馬市2店 |
| 香川県 | 49店 | 2店 | 47店 | 高松市41店・三豊市3店 |
| 愛媛県 | 29店 | 1店 | 28店 | 松山市10店・今治市10店 |
| 高知県 | 10店 | 0店 | 10店 | 高岡郡佐川町2店・香美市2店 |
九州・沖縄
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 福岡県 | 13店 | 3店 | 10店 | 福岡市4店・久留米市2店 |
| 佐賀県 | 7店 | 1店 | 6店 | 佐賀市3店・唐津市2店 |
| 長崎県 | 20店 | 6店 | 14店 | 佐世保市3店・島原市3店 |
| 熊本県 | 11店 | 1店 | 10店 | 熊本市6店・天草市1店 |
| 大分県 | 4店 | 2店 | 2店 | 大分市3店・由布市1店 |
| 宮崎県 | 10店 | 1店 | 9店 | 日南市3店・延岡市2店 |
| 鹿児島県 | 11店 | 1店 | 10店 | 鹿児島市8店・薩摩川内市2店 |
| 沖縄県 | 4店 | 1店 | 3店 | うるま市1店・中頭郡西原町1店 |
この記事に出てくることば
- 改葬:遺骨を別の場所へ移すこと。市区町村長の許可が要る。
- 改葬許可証:市区町村が出す書類。納骨するときに移す先へ渡す。
- 埋蔵証明書:いまの墓地の管理者が出す、遺骨がそこにある証明。
- 受入証明書:移す先が出す、受け入れる証明。
- 閉眼供養:墓石から魂を抜くとされる法要。魂抜き・お性根抜きとも。
- 離檀:檀家をやめること。離檀料は法律上の費用ではない。
- 祭祀承継者:お墓や仏壇を引き継ぐ人。民法で決まり方が定められている。
- 無縁墳墓:縁故者が分からなくなったお墓。官報公告と1年の期間を経て改葬される。
あわせて読む
- 永代供養墓の選び方|合祀・個別・期限付きの違いと契約前の確認表
- 合祀墓に移す前に確かめること|取り出せない・名前が残らないことへの備え
- 墓じまいのあと樹木葬を選ぶとき|区画の形と契約前の確認
- 納骨堂の種類と選び方|ロッカー式・仏壇式・自動搬送式の違い
- 墓じまいのあと海洋散骨を選ぶとき|国のガイドラインと業者に確かめること
- 石材店の選び方|見積もりで分かれ目になるところ
- 改葬許可はどこの役所に出すか|窓口の探し方と問い合わせで聞くこと
次にやること
- お墓の名義人と、だれが決めるのかをはっきりさせる
- 遺骨を移す先を決めて、受入証明書をもらう
- 寺・霊園に伝え、埋蔵証明書をもらう
- 石材店を2〜3社えらび、同じ条件で見積もりを取る
- 市区町村に改葬許可を申請する
この記事のデータについて
掲載している石材店の数は、全優石(全国優良石材店の会)と日本石材産業協会が公開している一覧を数えたものです。費用の相場や店の評価は持っていないため、掲載していません。手続きの内容は墓地、埋葬等に関する法律および特定商取引法にもとづいています。実際の申請先や必要書類は市区町村で異なることがあるため、窓口でご確認ください。