寺院墓地の墓じまいは、墓地の返還と同時に檀家としての関係をどうするかの話になります。順番を間違えると書類が出ず手続きが止まるので、進め方をまとめました。
寺院墓地で起きやすいこと
| 起きやすいこと | 防ぎ方 |
|---|---|
| 移す先を決めてから住職に伝え、気分を害される | 移す先を決める前に相談として伝える |
| 離檀料の話がこじれる | 金額の根拠を聞き、その場で返事しない |
| 埋蔵証明書が出ない | 役所に相談(施行規則第2条の「これに準ずる書面」) |
| 指定石材店の見積もりが高い | 項目ごとの内訳を出してもらう |
順番
- 家族の方針をまとめる
- 住職に相談として伝える(御礼→事情→相談)
- 移す先を決める(同じ寺の永代供養墓も候補にする)
- 閉眼供養の日を相談する
- 埋蔵証明書をお願いする
- 指定石材店を確かめ、見積もりを取る
- 改葬許可を申請する
- 閉眼供養・遺骨の取り出し・撤去工事
- 移す先に納骨
同じ寺の永代供養墓という選択
寺院墓地の墓じまいでは、同じ寺の永代供養墓や納骨堂に移す方法もあります。
| よいところ | 気をつけること |
|---|---|
| 檀家の関係が続き、話がまとまりやすい | 寺が遠いままなら、お参りの不便は残る |
| 同じ寺の中なので手続きが簡単になることがある | 合祀の時期を確かめる |
離檀するとき
離檀は、檀家をやめることです。決まった手続きはありませんが、
- 住職に直接伝える
- これまでの御礼を伝える
- 位牌や過去帳の扱いを相談する
の3つを押さえます。離檀料は法律で決められた費用ではありません。
確認表
| 確かめること | 済 |
|---|---|
| 住職に相談した | □ |
| 閉眼供養の日を決めた | □ |
| 埋蔵証明書を頼んだ | □ |
| 指定石材店を確かめた | □ |
| 離檀するか、檀家を続けるか決めた | □ |
| 位牌・過去帳の扱いを相談した | □ |
よくある質問
檀家をやめないと墓じまいできませんか
できます。お墓は閉じても、檀家として法要を頼み続ける人もいます。
寺が無住(住職がいない)です
兼務している寺や、宗派の窓口に相談します。だれが墓地の管理者かを確かめるのが先です。
離檀料に決まった額はない
檀家をやめるときに寺へ包むお金を離檀料と呼びますが、法律で決められた費用ではありません。これまでの供養への御礼として渡す性質のものです。
もめやすいところ
- 高額を求められたが、根拠が示されない
- 埋蔵証明書を出してもらえず、改葬の手続きが進まない
- 先祖代々の付き合いがあり、話を切り出しにくい
進め方
- まず事情を伝えて相談する。いきなり業者を間に立てない
- 金額の根拠と、埋蔵証明書を出してもらえるかを確かめる
- 折り合わないときは、消費生活センター(188)や弁護士に相談する
埋蔵証明書は改葬に必要な書類です。出してもらえないまま進めることはできません。
墓地には3つの種類がある
どこにお墓があるかで、話を通す相手も手続きも変わります。
| 種類 | 管理しているところ | 墓じまいのときの相手 |
|---|---|---|
| 寺院墓地 | 寺 | 住職。檀家をやめる話(離檀)もここ |
| 公営霊園 | 市区町村など | 役所の担当窓口。返還の届け出が要る |
| 民営霊園 | 宗教法人・公益法人など | 霊園の管理事務所 |
寺院墓地のとき
檀家という関係があるため、墓石の撤去より先に住職へ相談するのが順番です。埋蔵証明書を出してもらう相手でもあります。
公営・民営霊園のとき
使用規則に「返還するときは更地にして返す」と書かれていることが多く、原状回復の範囲が規則で決まっています。見積もりを取る前に規則を確かめてください。
親族との間でもめやすいところ
だれが決めるのか
お墓の権利は祭祀承継者が持ちます。民法では、慣習や被相続人の指定によって決まるとされています。名義人が決まっていないまま進めると、あとから異議が出ます。
先に伝えておく
- なぜ墓じまいをするのか(参る人がいない、遠い、など)
- 遺骨をどこへ移すのか
- 費用をだれがどう負担するのか
- いつ作業するのか
作業が終わってからでは戻せません。親族が少人数でも、事前に伝えておくほうが結果的に早く進みます。
どこまで自分でやり、どこから頼むか
| やること | 自分でできる | 頼む先 |
|---|---|---|
| 移す先を決める | ◯ | 霊園・納骨堂・寺に問い合わせ |
| 受入証明書をもらう | ◯ | 移す先 |
| 埋蔵証明書をもらう | ◯ | 今の墓地の管理者 |
| 改葬許可を申請する | ◯ | 市区町村の窓口 |
| 閉眼供養 | × | 寺・僧侶 |
| 遺骨の取り出し | △ | 石材店が行うことが多い |
| 墓石の撤去と整地 | × | 石材店 |
| 納骨 | ◯ | 移す先 |
書類は自分で動いたほうが早い
役所の申請は本人でもできます。代行を頼むと費用が乗ります。平日に窓口へ行けるなら、自分で出すほうが早く安く済みます。
石材店に頼む範囲を決めておく
「墓じまい一式」で頼むと、寺への連絡や役所の申請まで含む代行になっていることがあります。どこからどこまでを頼むのかを、見積もりの前にはっきりさせてください。
順番を飛ばさない
いちばん多い行き違いは、移す先を決める前に墓石の話を進めてしまうことです。受入証明書が無いと改葬許可が下りないため、工事だけ先に進めても納骨できません。
改葬には役所の許可が要る
お墓を別の場所へ移すことを改葬といいます。墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)で、改葬には市区町村長の許可が必要と決められています。勝手に遺骨を取り出して移すことはできません。
そろえる書類
| 書類 | 出してもらう先 | 中身 |
|---|---|---|
| 改葬許可申請書 | 今のお墓がある市区町村 | 死亡者の氏名・本籍・埋葬の年月日など |
| 埋蔵証明書 | 今のお墓の管理者(寺・霊園) | そこに遺骨が納められている証明 |
| 受入証明書 | 移す先の墓地・納骨堂 | そこで受け入れる証明 |
| 申請者の本人確認書類 | — | 運転免許証など |
進む順番
- 移す先を決めて、受入証明書をもらう
- 今のお墓の管理者に伝え、埋蔵証明書をもらう
- 市区町村に改葬許可申請書を出し、改葬許可証をもらう
- 閉眼供養をして遺骨を取り出す
- 石材店に墓石を撤去してもらい、区画を更地にして返す
- 改葬許可証を添えて、移す先に納骨する
先に決めておくこと
移す先が決まっていないと、改葬許可は下りません。受入証明書が出せないためです。「まず墓石を片づけてから考える」という順番は取れません。
お墓のある都道府県から石材店を探す
墓じまいの工事は、お墓のある地域の石材店に頼むと現地確認と管理者とのやり取りが早く済みます。全優石・日本石材産業協会に加盟する1,109店を、都道府県ごとに並べています。
北海道
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 38店 | 6店 | 32店 | 札幌市9店・岩見沢市3店 |
東北
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 青森県 | 10店 | 3店 | 7店 | 弘前市2店・八戸市2店 |
| 岩手県 | 21店 | 7店 | 14店 | 盛岡市5店・花巻市3店 |
| 宮城県 | 17店 | 5店 | 12店 | 仙台市6店・岩沼市1店 |
| 秋田県 | 7店 | 1店 | 6店 | 大仙市3店・秋田市2店 |
| 山形県 | 8店 | 0店 | 8店 | 山形市4店・天童市2店 |
| 福島県 | 28店 | 4店 | 24店 | 喜多方市4店・伊達市4店 |
関東
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 茨城県 | 55店 | 1店 | 54店 | 桜川市37店・笠間市5店 |
| 栃木県 | 18店 | 2店 | 16店 | 宇都宮市7店・小山市2店 |
| 群馬県 | 17店 | 8店 | 9店 | 高崎市3店・前橋市2店 |
| 埼玉県 | 53店 | 6店 | 47店 | さいたま市5店・川口市5店 |
| 千葉県 | 54店 | 12店 | 42店 | 松戸市13店・船橋市6店 |
| 東京都 | 109店 | 18店 | 91店 | 豊島区11店・府中市9店 |
| 神奈川県 | 32店 | 5店 | 27店 | 横浜市10店・川崎市5店 |
中部
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 新潟県 | 19店 | 1店 | 18店 | 新潟市6店・十日町市2店 |
| 富山県 | 13店 | 2店 | 11店 | 富山市5店・高岡市4店 |
| 石川県 | 15店 | 6店 | 9店 | 金沢市4店・小松市4店 |
| 福井県 | 9店 | 0店 | 9店 | 鯖江市2店・越前市2店 |
| 山梨県 | 12店 | 0店 | 12店 | 笛吹市4店・甲府市2店 |
| 長野県 | 18店 | 5店 | 13店 | 長野市6店・松本市2店 |
| 岐阜県 | 14店 | 2店 | 12店 | 大垣市4店・多治見市2店 |
| 静岡県 | 63店 | 10店 | 53店 | 静岡市16店・沼津市4店 |
| 愛知県 | 39店 | 2店 | 37店 | 岡崎市15店・名古屋市6店 |
近畿
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 三重県 | 17店 | 6店 | 11店 | 伊賀市4店・四日市2店 |
| 滋賀県 | 28店 | 2店 | 26店 | 東近江市5店・大津市5店 |
| 京都府 | 19店 | 1店 | 18店 | 京都市14店・福知山市1店 |
| 大阪府 | 48店 | 3店 | 45店 | 大阪市12店・堺市9店 |
| 兵庫県 | 29店 | 2店 | 27店 | 姫路市4店・洲本市3店 |
| 奈良県 | 22店 | 1店 | 21店 | 奈良市4店・橿原市3店 |
| 和歌山県 | 8店 | 0店 | 8店 | 和歌山市4店・橋本市1店 |
中国
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 鳥取県 | 16店 | 2店 | 14店 | 鳥取市6店・米子市2店 |
| 島根県 | 14店 | 1店 | 13店 | 安来市4店・松江市4店 |
| 岡山県 | 26店 | 4店 | 22店 | 倉敷市7店・笠岡市6店 |
| 広島県 | 23店 | 2店 | 21店 | 福山市8店・広島市3店 |
| 山口県 | 5店 | 0店 | 5店 | 山口市2店・下関市1店 |
四国
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 徳島県 | 17店 | 0店 | 17店 | 徳島市5店・美馬市2店 |
| 香川県 | 49店 | 2店 | 47店 | 高松市41店・三豊市3店 |
| 愛媛県 | 29店 | 1店 | 28店 | 松山市10店・今治市10店 |
| 高知県 | 10店 | 0店 | 10店 | 高岡郡佐川町2店・香美市2店 |
九州・沖縄
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 福岡県 | 13店 | 3店 | 10店 | 福岡市4店・久留米市2店 |
| 佐賀県 | 7店 | 1店 | 6店 | 佐賀市3店・唐津市2店 |
| 長崎県 | 20店 | 6店 | 14店 | 佐世保市3店・島原市3店 |
| 熊本県 | 11店 | 1店 | 10店 | 熊本市6店・天草市1店 |
| 大分県 | 4店 | 2店 | 2店 | 大分市3店・由布市1店 |
| 宮崎県 | 10店 | 1店 | 9店 | 日南市3店・延岡市2店 |
| 鹿児島県 | 11店 | 1店 | 10店 | 鹿児島市8店・薩摩川内市2店 |
| 沖縄県 | 4店 | 1店 | 3店 | うるま市1店・中頭郡西原町1店 |
この記事に出てくることば
- 改葬:遺骨を別の場所へ移すこと。市区町村長の許可が要る。
- 改葬許可証:市区町村が出す書類。納骨するときに移す先へ渡す。
- 埋蔵証明書:いまの墓地の管理者が出す、遺骨がそこにある証明。
- 受入証明書:移す先が出す、受け入れる証明。
- 閉眼供養:墓石から魂を抜くとされる法要。魂抜き・お性根抜きとも。
- 離檀:檀家をやめること。離檀料は法律上の費用ではない。
- 祭祀承継者:お墓や仏壇を引き継ぐ人。民法で決まり方が定められている。
- 無縁墳墓:縁故者が分からなくなったお墓。官報公告と1年の期間を経て改葬される。
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- 古いお墓・土葬のお墓を閉じるとき|遺骨が土に還っている場合の進め方
- 離檀料に決まった額はあるか|寺との話の進め方
- 遠方のお墓を墓じまいするとき|現地へ行く回数を減らす段取り
次にやること
- お墓の名義人と、だれが決めるのかをはっきりさせる
- 遺骨を移す先を決めて、受入証明書をもらう
- 寺・霊園に伝え、埋蔵証明書をもらう
- 石材店を2〜3社えらび、同じ条件で見積もりを取る
- 市区町村に改葬許可を申請する
この記事のデータについて
掲載している石材店の数は、全優石(全国優良石材店の会)と日本石材産業協会が公開している一覧を数えたものです。費用の相場や店の評価は持っていないため、掲載していません。手続きの内容は墓地、埋葬等に関する法律および特定商取引法にもとづいています。実際の申請先や必要書類は市区町村で異なることがあるため、窓口でご確認ください。