お墓は相続税がかからない財産として法律に書かれています。一方で、墓じまいの費用を相続財産から差し引けるかは別の話です。税の扱いを、条文と国税庁の説明に沿って整理しました。
相続税がかからない財産
相続税法第12条第1項は、相続税の課税価格に算入しない財産(非課税財産)を定めています。その一つが「墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの」です。お墓や仏壇・仏具は、ふつうは相続税の対象になりません。
| 財産 | 相続税 |
|---|---|
| 墓地・墓石(墓所) | かからない(非課税財産) |
| 仏壇・仏具(祭具) | かからない。ただし骨とう品や投資目的のものは除かれる扱い |
| 預貯金・不動産 | かかる(ふつうの相続財産) |
墓じまいの費用は差し引けるか
相続税では、葬式費用を相続財産から差し引けます。しかし国税庁は、墓地や墓石の購入費、墓地を借りるための費用は葬式費用に含まれないと説明しています。墓じまいは葬式そのものではないため、撤去工事や改葬の費用を葬式費用として差し引くことは、ふつうは難しいと考えておきます。迷うときは税務署や税理士に確かめてください。
生前に墓地を買うのはなぜ節税と言われるか
墓所は非課税財産なので、生前に現金で墓地や墓石を買っておけば、その分の現金は相続財産から外れます。これが「生前に墓を建てると節税になる」と言われる理由です。墓じまいとは逆向きの話ですが、新しいお墓を建てて移す場合には関係します。
墓じまいの費用をだれが払うか
税とは別に、墓じまいの費用をだれが負担するかの決まりは法律にありません。
| 払い方 | よいところ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 祭祀承継者が払う | 決めた人が責任を持つ | 承継者の負担が大きい |
| 兄弟で分ける | 負担が軽くなる | 割合と範囲を先に決める |
| 亡くなった人の預金から払う | 家族の持ち出しがない | 相続人全員の同意が要る。遺産分割との関係を整理 |
亡くなった人の預金から払うときは、遺産分割の前か後か、どの相続人の取り分から出すのかで揉めやすくなります。書面で合意しておきます。
確認表
| 確かめること | 済 |
|---|---|
| 墓所・祭具は相続財産の分割の対象外と理解した | □ |
| 墓じまいの費用は葬式費用として差し引けないことが多いと理解した | □ |
| 費用の負担者と割合を決めた | □ |
| 亡くなった人の預金を使うなら相続人全員の同意を取った | □ |
| 迷う点を税務署・税理士に確かめた | □ |
よくある質問
墓地を売ってお金にできますか
多くの墓地は、土地を所有しているのではなく使用する権利(永代使用権)を持っているだけです。他人に売ることは墓地の規則で認められていないのが一般的です。
墓じまいで戻ってきたお金に税金はかかりますか
墓地の規則によって返還金がある場合の扱いは、金額や内容によります。税務署に確かめてください。
費用は3つに分かれる
墓じまいで出ていくお金は、大きく3つです。当サイトは各社の金額を持っていないので、相場は出していません。見積もりで確かめてください。
| 何に | だれに払うか | 確かめること |
|---|---|---|
| 墓石の撤去と区画の整地 | 石材店 | 重機が入るか、手作業か。区画の広さ。処分費が別か |
| 閉眼供養のお布施 | 寺・僧侶 | 包む額の目安を寺に直接たずねる |
| 移す先の費用 | 霊園・納骨堂・寺 | 永代供養料、納骨料、年間管理費の有無 |
見積もりで分かれ目になるところ
- 重機が入るか…山の上や階段の先にある区画は手作業になり、人手のぶん変わります
- 処分費が含まれているか…墓石の運び出しと処分が別途になっていることがあります
- 整地の程度…更地にして返すのか、土を入れるところまでか
- お布施が含まれているか…石材店の見積もりに寺へのお布施は通常入りません
2〜3社から取る
同じ区画でも、見積もりの前提が違えば金額は変わります。同じ条件を伝えて2〜3社から取ってください。1社だけだと、その金額が高いか安いか判断できません。
親族との間でもめやすいところ
だれが決めるのか
お墓の権利は祭祀承継者が持ちます。民法では、慣習や被相続人の指定によって決まるとされています。名義人が決まっていないまま進めると、あとから異議が出ます。
先に伝えておく
- なぜ墓じまいをするのか(参る人がいない、遠い、など)
- 遺骨をどこへ移すのか
- 費用をだれがどう負担するのか
- いつ作業するのか
作業が終わってからでは戻せません。親族が少人数でも、事前に伝えておくほうが結果的に早く進みます。
気をつけたい5つのやり方
国民生活センターには、墓じまいをめぐる相談が寄せられています。次の5つは、契約の前に気づけるものです。
1. 見積書を出さない・内訳が一式だけ
「墓じまい一式◯◯円」としか書かれていない見積もりは、あとから追加になりやすいところです。撤去・運搬・処分・整地を分けて書いてもらってください。
2. その場で契約をせまる
「今日決めれば安くする」と急かすやり方です。業者が自宅を訪ねて契約した場合は訪問販売にあたり、特定商取引法で契約書面を受け取った日から8日間のクーリング・オフができます。
3. 作業を始めてから追加を求める
墓石を動かしたあとで「思ったより根が深かった」と追加を求める形です。追加が出る場合の条件と上限を、契約前に書面で確かめてください。
4. 離檀料を業者が代わりに交渉すると言う
寺との話し合いは、本来その寺と檀家の間のことです。業者が間に入って高額な手数料を取る例があります。
5. 遺骨の行き先をはっきり言わない
取り出した遺骨をどこへ納めるかが決まっていないと、そもそも改葬許可が下りません。「こちらで預かる」とだけ言う業者には、預かる施設の名前と許可の有無をたずねてください。
困ったときの相談先
消費者ホットライン188に電話すると、近くの消費生活センターにつながります。契約書面とやり取りの記録を手元に置いてから相談してください。
石材店を選ぶときに見るところ
当サイトは全優石(全国優良石材店の会)と日本石材産業協会の一覧から1,109店を、47都道府県ごとに並べています。掲載数は選べる幅の話で、店の質を表すものではありません。
見積もりで確かめる項目
- 撤去・運搬・処分・整地が分けて書かれているか
- 重機が入るかどうかを、現地を見て判断しているか
- 追加が出る条件と、その場合の上限
- 閉眼供養の手配を含むのか、こちらで寺に頼むのか
- 作業の日程と、区画を返す期日
現地を見ずに金額を出す業者
区画の広さ、墓石の大きさ、重機が入るかは現地で変わります。写真だけで確定額を出す業者には、何を前提にした金額かをたずねてください。
団体の加盟は何を示すか
全優石や日本石材産業協会への加盟は、その団体の基準を満たして入会していることを示します。工事の出来や金額を保証するものではありません。加盟の有無は判断材料のひとつとして見てください。
よくある質問
遺骨を自分で運んでもよいですか
改葬許可証があれば、運ぶ方法に決まりはありません。移す先に許可証を渡して納骨します。
お墓が遠くて現地に行けません
書類の多くは郵送でやり取りできますが、石材店の見積もりは現地を見てもらう必要があります。区画の広さや重機が入るかで変わるためです。
遺骨が土に還っていて見つかりません
古いお墓では骨壺を使わず土に還していることがあります。その場合は土ごと少量を取り出して改葬する扱いになります。管理者と石材店に事前に伝えてください。
墓石は引き取ってもらえますか
撤去した墓石は産業廃棄物として処分されます。処分費が見積もりに含まれているかを確かめてください。
作業に立ち会う必要はありますか
閉眼供養には立ち会うのが一般的です。撤去作業そのものは立ち会わないこともあります。石材店に確認してください。
途中でやめられますか
業者が自宅を訪ねて契約した場合は、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができます。店舗で自分から契約した場合は対象外です。
お墓のある都道府県から石材店を探す
墓じまいの工事は、お墓のある地域の石材店に頼むと現地確認と管理者とのやり取りが早く済みます。全優石・日本石材産業協会に加盟する1,109店を、都道府県ごとに並べています。
北海道
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 38店 | 6店 | 32店 | 札幌市9店・岩見沢市3店 |
東北
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 青森県 | 10店 | 3店 | 7店 | 弘前市2店・八戸市2店 |
| 岩手県 | 21店 | 7店 | 14店 | 盛岡市5店・花巻市3店 |
| 宮城県 | 17店 | 5店 | 12店 | 仙台市6店・岩沼市1店 |
| 秋田県 | 7店 | 1店 | 6店 | 大仙市3店・秋田市2店 |
| 山形県 | 8店 | 0店 | 8店 | 山形市4店・天童市2店 |
| 福島県 | 28店 | 4店 | 24店 | 喜多方市4店・伊達市4店 |
関東
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 茨城県 | 55店 | 1店 | 54店 | 桜川市37店・笠間市5店 |
| 栃木県 | 18店 | 2店 | 16店 | 宇都宮市7店・小山市2店 |
| 群馬県 | 17店 | 8店 | 9店 | 高崎市3店・前橋市2店 |
| 埼玉県 | 53店 | 6店 | 47店 | さいたま市5店・川口市5店 |
| 千葉県 | 54店 | 12店 | 42店 | 松戸市13店・船橋市6店 |
| 東京都 | 109店 | 18店 | 91店 | 豊島区11店・府中市9店 |
| 神奈川県 | 32店 | 5店 | 27店 | 横浜市10店・川崎市5店 |
中部
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 新潟県 | 19店 | 1店 | 18店 | 新潟市6店・十日町市2店 |
| 富山県 | 13店 | 2店 | 11店 | 富山市5店・高岡市4店 |
| 石川県 | 15店 | 6店 | 9店 | 金沢市4店・小松市4店 |
| 福井県 | 9店 | 0店 | 9店 | 鯖江市2店・越前市2店 |
| 山梨県 | 12店 | 0店 | 12店 | 笛吹市4店・甲府市2店 |
| 長野県 | 18店 | 5店 | 13店 | 長野市6店・松本市2店 |
| 岐阜県 | 14店 | 2店 | 12店 | 大垣市4店・多治見市2店 |
| 静岡県 | 63店 | 10店 | 53店 | 静岡市16店・沼津市4店 |
| 愛知県 | 39店 | 2店 | 37店 | 岡崎市15店・名古屋市6店 |
近畿
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 三重県 | 17店 | 6店 | 11店 | 伊賀市4店・四日市2店 |
| 滋賀県 | 28店 | 2店 | 26店 | 東近江市5店・大津市5店 |
| 京都府 | 19店 | 1店 | 18店 | 京都市14店・福知山市1店 |
| 大阪府 | 48店 | 3店 | 45店 | 大阪市12店・堺市9店 |
| 兵庫県 | 29店 | 2店 | 27店 | 姫路市4店・洲本市3店 |
| 奈良県 | 22店 | 1店 | 21店 | 奈良市4店・橿原市3店 |
| 和歌山県 | 8店 | 0店 | 8店 | 和歌山市4店・橋本市1店 |
中国
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 鳥取県 | 16店 | 2店 | 14店 | 鳥取市6店・米子市2店 |
| 島根県 | 14店 | 1店 | 13店 | 安来市4店・松江市4店 |
| 岡山県 | 26店 | 4店 | 22店 | 倉敷市7店・笠岡市6店 |
| 広島県 | 23店 | 2店 | 21店 | 福山市8店・広島市3店 |
| 山口県 | 5店 | 0店 | 5店 | 山口市2店・下関市1店 |
四国
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 徳島県 | 17店 | 0店 | 17店 | 徳島市5店・美馬市2店 |
| 香川県 | 49店 | 2店 | 47店 | 高松市41店・三豊市3店 |
| 愛媛県 | 29店 | 1店 | 28店 | 松山市10店・今治市10店 |
| 高知県 | 10店 | 0店 | 10店 | 高岡郡佐川町2店・香美市2店 |
九州・沖縄
| 都道府県 | 掲載店 | 全優石 | 石材産業協会 | 多い市区町村 |
|---|---|---|---|---|
| 福岡県 | 13店 | 3店 | 10店 | 福岡市4店・久留米市2店 |
| 佐賀県 | 7店 | 1店 | 6店 | 佐賀市3店・唐津市2店 |
| 長崎県 | 20店 | 6店 | 14店 | 佐世保市3店・島原市3店 |
| 熊本県 | 11店 | 1店 | 10店 | 熊本市6店・天草市1店 |
| 大分県 | 4店 | 2店 | 2店 | 大分市3店・由布市1店 |
| 宮崎県 | 10店 | 1店 | 9店 | 日南市3店・延岡市2店 |
| 鹿児島県 | 11店 | 1店 | 10店 | 鹿児島市8店・薩摩川内市2店 |
| 沖縄県 | 4店 | 1店 | 3店 | うるま市1店・中頭郡西原町1店 |
この記事に出てくることば
- 改葬:遺骨を別の場所へ移すこと。市区町村長の許可が要る。
- 改葬許可証:市区町村が出す書類。納骨するときに移す先へ渡す。
- 埋蔵証明書:いまの墓地の管理者が出す、遺骨がそこにある証明。
- 受入証明書:移す先が出す、受け入れる証明。
- 閉眼供養:墓石から魂を抜くとされる法要。魂抜き・お性根抜きとも。
- 離檀:檀家をやめること。離檀料は法律上の費用ではない。
- 祭祀承継者:お墓や仏壇を引き継ぐ人。民法で決まり方が定められている。
- 無縁墳墓:縁故者が分からなくなったお墓。官報公告と1年の期間を経て改葬される。
あわせて読む
- お墓はだれが継ぐのか|祭祀承継者の決まり方と墓じまいを決める人
- 墓じまいの費用をだれが出すか|兄弟で分けるときの決め方と合意書のひな形
- 墓地の永代使用権とは|土地を持っているわけではない、返すときの決まり
- 墓じまいの費用を抑える7つの方法|削れるところと削らないほうがいいところ
- 墓じまいで困ったときの相談先|内容ごとの窓口一覧
- 墓じまいの費用は何に分かれるか|見積もりで確かめる項目
- 改葬許可証を受け取ったら|使う場面と、なくしたときの対応
次にやること
- お墓の名義人と、だれが決めるのかをはっきりさせる
- 遺骨を移す先を決めて、受入証明書をもらう
- 寺・霊園に伝え、埋蔵証明書をもらう
- 石材店を2〜3社えらび、同じ条件で見積もりを取る
- 市区町村に改葬許可を申請する
この記事のデータについて
掲載している石材店の数は、全優石(全国優良石材店の会)と日本石材産業協会が公開している一覧を数えたものです。費用の相場や店の評価は持っていないため、掲載していません。手続きの内容は墓地、埋葬等に関する法律および特定商取引法にもとづいています。実際の申請先や必要書類は市区町村で異なることがあるため、窓口でご確認ください。