墓地の永代使用権とは|土地を持っているわけではない、返すときの決まり

掲載データの確認日 2026/09/17

47都道府県を同じ条件でそろえています

お墓を「買った」と言っても、多くの場合は墓地の土地を使う権利(永代使用権)を得ているだけです。墓じまいで区画を返すとき、払ったお金が戻るか、どこまで元に戻すかは、この権利の中身で決まります。

永代使用権の中身

墓地の区画は、墓地の経営者(寺・宗教法人・公益法人・自治体)の土地です。使用者は、区画にお墓を建てて使う権利を持ちます。これを永代使用権、墓地使用権などと呼びます。土地の所有権ではないので、次のような違いがあります。

比べるところ 土地の所有権 永代使用権
売る できる できないのが一般的
貸す できる できない
相続 遺産分割の対象 祭祀承継者が引き継ぐ(民法第897条)
固定資産税 かかる 使用者にはかからない
やめるとき — 区画を返す。条件は墓地の規則

返すときに確かめる規則

墓じまいの前に、墓地の使用規則・使用契約書を読みます。とくに見るのは次の3点です。

規則の項目 よくある決め方 確かめること
永代使用料の返還 返さない 一部でも返す決まりがあるか
原状回復 更地にして返す 外柵・基礎・カロートまで撤去するか
年間管理費 返還月まで払う 前払い分が戻るか

原状回復の範囲で費用が変わる

「更地にして返す」と書かれていても、どこまで撤去するかは墓地によって違います。

  • 墓石だけ撤去すればよい
  • 外柵・基礎のコンクリートまで撤去する
  • カロート(納骨室)まで撤去し、土を入れて平らにする

範囲が広いほど工事が増えます。石材店の見積もりを取る前に、管理者に範囲を聞いておきます。

公営墓地の返還

公営墓地では、返還の届け出の様式が決まっています。永代使用料(使用料)の一部を返す規定を設けている自治体もあるので、返還の手続きと一緒に確かめます。

返還までの確認表

確かめること 回答
永代使用料は返るか
原状回復の範囲
年間管理費の精算方法
返還の届け出の様式
工事の届け出(工事前・完了後)
指定石材店の有無
管理者の完了確認の方法

よくある質問

使わない区画を他人に譲れますか

多くの墓地の規則で、使用権の譲渡は認められていません。返すことになります。

墓石を残したまま返せますか

規則で原状回復を求めていることがほとんどです。墓石を残してよいかは管理者に聞いてください。

墓地の名義が祖父のままです

返還の届け出の前に、名義の承継を求められることがあります。祭祀承継者が手続きします。

墓地には3つの種類がある

どこにお墓があるかで、話を通す相手も手続きも変わります。

種類 管理しているところ 墓じまいのときの相手
寺院墓地 寺 住職。檀家をやめる話(離檀)もここ
公営霊園 市区町村など 役所の担当窓口。返還の届け出が要る
民営霊園 宗教法人・公益法人など 霊園の管理事務所

寺院墓地のとき

檀家という関係があるため、墓石の撤去より先に住職へ相談するのが順番です。埋蔵証明書を出してもらう相手でもあります。

公営・民営霊園のとき

使用規則に「返還するときは更地にして返す」と書かれていることが多く、原状回復の範囲が規則で決まっています。見積もりを取る前に規則を確かめてください。

費用は3つに分かれる

墓じまいで出ていくお金は、大きく3つです。当サイトは各社の金額を持っていないので、相場は出していません。見積もりで確かめてください。

何に だれに払うか 確かめること
墓石の撤去と区画の整地 石材店 重機が入るか、手作業か。区画の広さ。処分費が別か
閉眼供養のお布施 寺・僧侶 包む額の目安を寺に直接たずねる
移す先の費用 霊園・納骨堂・寺 永代供養料、納骨料、年間管理費の有無

見積もりで分かれ目になるところ

  • 重機が入るか…山の上や階段の先にある区画は手作業になり、人手のぶん変わります
  • 処分費が含まれているか…墓石の運び出しと処分が別途になっていることがあります
  • 整地の程度…更地にして返すのか、土を入れるところまでか
  • お布施が含まれているか…石材店の見積もりに寺へのお布施は通常入りません

2〜3社から取る

同じ区画でも、見積もりの前提が違えば金額は変わります。同じ条件を伝えて2〜3社から取ってください。1社だけだと、その金額が高いか安いか判断できません。

気をつけたい5つのやり方

国民生活センターには、墓じまいをめぐる相談が寄せられています。次の5つは、契約の前に気づけるものです。

1. 見積書を出さない・内訳が一式だけ

「墓じまい一式◯◯円」としか書かれていない見積もりは、あとから追加になりやすいところです。撤去・運搬・処分・整地を分けて書いてもらってください。

2. その場で契約をせまる

「今日決めれば安くする」と急かすやり方です。業者が自宅を訪ねて契約した場合は訪問販売にあたり、特定商取引法で契約書面を受け取った日から8日間のクーリング・オフができます。

3. 作業を始めてから追加を求める

墓石を動かしたあとで「思ったより根が深かった」と追加を求める形です。追加が出る場合の条件と上限を、契約前に書面で確かめてください。

4. 離檀料を業者が代わりに交渉すると言う

寺との話し合いは、本来その寺と檀家の間のことです。業者が間に入って高額な手数料を取る例があります。

5. 遺骨の行き先をはっきり言わない

取り出した遺骨をどこへ納めるかが決まっていないと、そもそも改葬許可が下りません。「こちらで預かる」とだけ言う業者には、預かる施設の名前と許可の有無をたずねてください。

困ったときの相談先

消費者ホットライン188に電話すると、近くの消費生活センターにつながります。契約書面とやり取りの記録を手元に置いてから相談してください。

石材店を選ぶときに見るところ

当サイトは全優石(全国優良石材店の会)と日本石材産業協会の一覧から1,109店を、47都道府県ごとに並べています。掲載数は選べる幅の話で、店の質を表すものではありません。

見積もりで確かめる項目

  • 撤去・運搬・処分・整地が分けて書かれているか
  • 重機が入るかどうかを、現地を見て判断しているか
  • 追加が出る条件と、その場合の上限
  • 閉眼供養の手配を含むのか、こちらで寺に頼むのか
  • 作業の日程と、区画を返す期日

現地を見ずに金額を出す業者

区画の広さ、墓石の大きさ、重機が入るかは現地で変わります。写真だけで確定額を出す業者には、何を前提にした金額かをたずねてください。

団体の加盟は何を示すか

全優石や日本石材産業協会への加盟は、その団体の基準を満たして入会していることを示します。工事の出来や金額を保証するものではありません。加盟の有無は判断材料のひとつとして見てください。

親族との間でもめやすいところ

だれが決めるのか

お墓の権利は祭祀承継者が持ちます。民法では、慣習や被相続人の指定によって決まるとされています。名義人が決まっていないまま進めると、あとから異議が出ます。

先に伝えておく

  • なぜ墓じまいをするのか(参る人がいない、遠い、など)
  • 遺骨をどこへ移すのか
  • 費用をだれがどう負担するのか
  • いつ作業するのか

作業が終わってからでは戻せません。親族が少人数でも、事前に伝えておくほうが結果的に早く進みます。

お墓のある都道府県から石材店を探す

墓じまいの工事は、お墓のある地域の石材店に頼むと現地確認と管理者とのやり取りが早く済みます。全優石・日本石材産業協会に加盟する1,109店を、都道府県ごとに並べています。

北海道

都道府県 掲載店 全優石 石材産業協会 多い市区町村
北海道 38店 6店 32店 札幌市9店・岩見沢市3店

東北

都道府県 掲載店 全優石 石材産業協会 多い市区町村
青森県 10店 3店 7店 弘前市2店・八戸市2店
岩手県 21店 7店 14店 盛岡市5店・花巻市3店
宮城県 17店 5店 12店 仙台市6店・岩沼市1店
秋田県 7店 1店 6店 大仙市3店・秋田市2店
山形県 8店 0店 8店 山形市4店・天童市2店
福島県 28店 4店 24店 喜多方市4店・伊達市4店

関東

都道府県 掲載店 全優石 石材産業協会 多い市区町村
茨城県 55店 1店 54店 桜川市37店・笠間市5店
栃木県 18店 2店 16店 宇都宮市7店・小山市2店
群馬県 17店 8店 9店 高崎市3店・前橋市2店
埼玉県 53店 6店 47店 さいたま市5店・川口市5店
千葉県 54店 12店 42店 松戸市13店・船橋市6店
東京都 109店 18店 91店 豊島区11店・府中市9店
神奈川県 32店 5店 27店 横浜市10店・川崎市5店

中部

都道府県 掲載店 全優石 石材産業協会 多い市区町村
新潟県 19店 1店 18店 新潟市6店・十日町市2店
富山県 13店 2店 11店 富山市5店・高岡市4店
石川県 15店 6店 9店 金沢市4店・小松市4店
福井県 9店 0店 9店 鯖江市2店・越前市2店
山梨県 12店 0店 12店 笛吹市4店・甲府市2店
長野県 18店 5店 13店 長野市6店・松本市2店
岐阜県 14店 2店 12店 大垣市4店・多治見市2店
静岡県 63店 10店 53店 静岡市16店・沼津市4店
愛知県 39店 2店 37店 岡崎市15店・名古屋市6店

近畿

都道府県 掲載店 全優石 石材産業協会 多い市区町村
三重県 17店 6店 11店 伊賀市4店・四日市2店
滋賀県 28店 2店 26店 東近江市5店・大津市5店
京都府 19店 1店 18店 京都市14店・福知山市1店
大阪府 48店 3店 45店 大阪市12店・堺市9店
兵庫県 29店 2店 27店 姫路市4店・洲本市3店
奈良県 22店 1店 21店 奈良市4店・橿原市3店
和歌山県 8店 0店 8店 和歌山市4店・橋本市1店

中国

都道府県 掲載店 全優石 石材産業協会 多い市区町村
鳥取県 16店 2店 14店 鳥取市6店・米子市2店
島根県 14店 1店 13店 安来市4店・松江市4店
岡山県 26店 4店 22店 倉敷市7店・笠岡市6店
広島県 23店 2店 21店 福山市8店・広島市3店
山口県 5店 0店 5店 山口市2店・下関市1店

四国

都道府県 掲載店 全優石 石材産業協会 多い市区町村
徳島県 17店 0店 17店 徳島市5店・美馬市2店
香川県 49店 2店 47店 高松市41店・三豊市3店
愛媛県 29店 1店 28店 松山市10店・今治市10店
高知県 10店 0店 10店 高岡郡佐川町2店・香美市2店

九州・沖縄

都道府県 掲載店 全優石 石材産業協会 多い市区町村
福岡県 13店 3店 10店 福岡市4店・久留米市2店
佐賀県 7店 1店 6店 佐賀市3店・唐津市2店
長崎県 20店 6店 14店 佐世保市3店・島原市3店
熊本県 11店 1店 10店 熊本市6店・天草市1店
大分県 4店 2店 2店 大分市3店・由布市1店
宮崎県 10店 1店 9店 日南市3店・延岡市2店
鹿児島県 11店 1店 10店 鹿児島市8店・薩摩川内市2店
沖縄県 4店 1店 3店 うるま市1店・中頭郡西原町1店

この記事に出てくることば

  • 改葬:遺骨を別の場所へ移すこと。市区町村長の許可が要る。
  • 改葬許可証:市区町村が出す書類。納骨するときに移す先へ渡す。
  • 埋蔵証明書:いまの墓地の管理者が出す、遺骨がそこにある証明。
  • 受入証明書:移す先が出す、受け入れる証明。
  • 閉眼供養:墓石から魂を抜くとされる法要。魂抜き・お性根抜きとも。
  • 離檀:檀家をやめること。離檀料は法律上の費用ではない。
  • 祭祀承継者:お墓や仏壇を引き継ぐ人。民法で決まり方が定められている。
  • 無縁墳墓:縁故者が分からなくなったお墓。官報公告と1年の期間を経て改葬される。

あわせて読む

次にやること

  1. お墓の名義人と、だれが決めるのかをはっきりさせる
  2. 遺骨を移す先を決めて、受入証明書をもらう
  3. 寺・霊園に伝え、埋蔵証明書をもらう
  4. 石材店を2〜3社えらび、同じ条件で見積もりを取る
  5. 市区町村に改葬許可を申請する

都道府県から石材店を探す

この記事のデータについて

掲載している石材店の数は、全優石(全国優良石材店の会)と日本石材産業協会が公開している一覧を数えたものです。費用の相場や店の評価は持っていないため、掲載していません。手続きの内容は墓地、埋葬等に関する法律および特定商取引法にもとづいています。実際の申請先や必要書類は市区町村で異なることがあるため、窓口でご確認ください。